完熟のパパイアにへべすを絞った時の香りが忘れられず、あわせてドライを試作しています。
おそらく機械の中では初めましてのお見合い中。あとはお若いお二人で。そっと蓋を閉めてまる一日。
工房は甘くやさしい香りで満たされ、完熟パパイアとへべすの香りを合わせたドライフルーツが完成しました。
いつの日か干菓子と呼びたいところ。
お砂糖のなかった時代には、季節の果実の素朴な甘みが極上のおやつでした。
ラボでお菓子を作る理想はお砂糖から始まる甘さではなく、食材の香りや匂いからはじまる味です。
ドライフルーツはその代表格。
といいつつも保存の壁によく直面します。
仕上がりは完璧な姿をしていても、時間の経過とともに湿気を帯びてきたりで
胃がきりきりとするようなことは多々あります。
いまでは技術の恩恵を受け、長らく果実を楽しめるようになりましたが、
目に見えない自然界にいる菌たちの活動に影響を受けることもあるので、できるだけ環境を整え、
水分量を調節し、菌の活動を抑える工夫をしながら、ドライフルーツを作っています。
おいしさと保存のせめぎあいに心折れることもありますが、
人と同じで、野菜果実も同じ品種でもそれぞれ持ち味があるので、
それを引き出せた時は喜びに繋がります。
今月のラボではお料理にも用いたいと思います。
ラボではこれまで様々な種類を試作させていただきました。
食品開発センターから肩を落としながら帰ったことも数知れず。
ただ、そのたび研究員の方より温かな言葉と知識、技術をいただき、積み重ねています。
加工や食品表示の世界は日進月歩なので、完成はありませんが、
日々情報を更新しながら、野菜果実の個性を引き出せるよう取り組みたいと思います。